まよなかの　きつね

花岡大学／作　北村裕花／絵

シンペイちゃんがおじいさんと寝ていると、台所から物音が。のぞくと、キツネの親子が鍋の残りを食べています。やせ細った姿を見て、そっと気づかないふりをしました。さて、その次の日の夜…。

こわい泥棒が出てきて、はらはらドキドキしながらも、生き物たちへの優しいまなざし、おじいさんと孫との思いやりあふれる会話に、温かな気持ちになれる作品です。作者の花岡大学先生（1909-1988）は、もともとはお寺の住職で、教職に就きながら仏典童話を数多く創作されました。たいせつな教えと慈しみの心が込められたお話をじっくり味わってみてください。

【著作者プロフィール】
■花岡大学
奈良県生まれ。龍谷大学卒業。教職に就きながら、仏教経典に基づいた仏典童話を数多く創作。短編集『かたすみの満月』で小川未明文学賞奨励賞、『ゆうやけ学校』で小学館文学賞を受賞。著書に『百羽のツル』（戸田デザイン研究室）、『花岡大学童話文学全集』全6巻（法蔵館）など多数。1988年逝去。

■北村裕花
栃木県生まれ。多摩美術大学卒業。『おにぎりにんじゃ』で第33回講談社絵本新人賞佳作受賞。 絵本に『かけっこ　かけっこ』『ねこです。』『ゴリラさんは』（以上、講談社）、『こどもかいぎ』（フレーベル館）、『フートンのおふとん』（BL出版）など。