ぼくの帰る場所

Ｓ・Ｅ・デュラント／作
杉田七重／訳

主人公AJは、ケーキ作りがとびきり上手な母さんと、庭仕事が生きがいの父さんと暮らしている11歳の男子。走ることが得意で、ロンドン・オリンピックの陸上男子百メートルで、ウサイン・ボルトが優勝した瞬間に、スタジアムにいたことが忘れられない。
同じ年齢の他の子たちと違うところは、両親には学習障害があって、お金のことや書類のことなどが処理できないということ。AJに走る喜びを教えてくれたおじいちゃんが常に家族を支えてくれていたが、突然亡くなり、AJの生活は一変する。もし学校に知られて、三人では暮らせないと判断されてしまったら、と悩むAJは、おじいちゃんが死んでしまったことやお金がないことを誰にも相談せず、自分でなんとかしようと奔走する。
『青空のかけら』の作家S・E・デュラントの第二弾。

【著作者プロフィール】
■S・E・デュラント（S・E・Durrant）／イギリスの児童文学作家。子ども時代をスコットランドですごし、12歳のときにイングランド中部の州レスターシャーに移る。美術（絵画）を学んだのちに世界を旅してまわり、最終的に南ロンドンに落ち着く。市場で露店を出したり、ヴェニスで絵を売ったり、子どもに美術を教えたりと、様々な仕事を経験。ロンドン大学では長年にわたって研究の提案書づくりに尽力した。現在、夫とふたりの子どもとブライトンに住む。邦訳されている作品に『青空のかけら』（鈴木出版）がある。

■杉田七重（すぎた・ななえ）／東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。小学校での教師経験ののち、翻訳家として、児童書、YA文学、一般書などフィクションを中心に幅広く活動。主な訳書に、『変化球男子』『青空のかけら』『ハティのはてしない空』（いずれも鈴木出版）、『たいせつな人へ』（あかね書房）、『イマジナリーフレンドと』（小学館）、『すばらしいオズの魔法使い』（西村書店）など多数。