クレイジー・サマー

リタ・ウィリアムズ＝ガルシア／作
代田亜香子／訳

1963年にキング牧師の「私には夢がある」という名高い演説が行われ、1964年には公民権法が制定され、長いあいだつづいていた法律上の人種差別は撤廃されました。けれども、事実上の差別はなかなかなくならず、1965年、公民権運動を指導していたマルコムＸの暗殺を受けて組織されたのが、黒人に革命と武装蜂起を呼びかけるブラックパンサー党です。キング牧師が1968年に暗殺されると、この党の活動はますますさかんになっていき、警察と衝突をくりかえす過激なグループと称されるようになりました。
そのようにまだ人種差別が明らかに存在していた時代を背景にしながらも、あくまでもある黒人家族のひと夏に焦点を当てたのが、この作品です。原題は〝One Crazy Summer〟で、この「クレイジー」という言葉が、よくもわるくもさまざまなものを形容しています。――（訳者あとがきより）
2010年全米図書賞児童書部門ファイナリスト、2011年コレッタ・スコット・キング賞作家部門、スコット・オデール賞など受賞。

【著作者プロフィール】
■リタ・ウィリアムズ＝ガルシア（Rita Williams-Garcia）／1957年、米国ニューヨークに生まれる。ヤングアダルト作家。主な作品に、『Jumped』、『No Laughter Here』、『Every Time a Rainbow Dies』などがある。本作品は、ニューベリー賞オナーブック、全米図書賞児童書部門ファイナリストに選ばれたほか、スコット・オデール賞など多数の賞を受賞している。

■代田亜香子（だいた・あかこ／立教大学英米文学科卒、翻訳家。主な訳書に、『きらきら』、『みんなワッフルにのせて』（ともに白水社）、「アリー・フィンクルの女の子のルール」シリーズ、　「プリンセス・ダイアリー」シリーズ（ともに河出書房新社）、 『フライ・ハイ』（あかね書房）、『私は売られてきた』（作品社）、『シルクの花』（鈴木出版）など多数。