さけが よんひき

最上一平／作
喜湯本のづみ／絵

このお話のおばあさんは、カッパに野菜をとられてもちっとも怒りません。それどころか、「もっともってけ」と言う始末。おばあさんにとって、野菜はとられるのではなく、あげているという感覚だからなのでしょう。おばあさんとカッパは一言も会話をしませんが、少しずつ心が通い合っている様子が伝わってきます。もらうばかりでなく、自分のものを他の人にあげる喜びが、少しでも子どもたちに伝わるとうれしいです。

【著作者プロフィール】
■最上一平（もがみ・いっぺい）／1957年山形県生まれ。『銀のうさぎ』で日本児童文学者協会新人賞、『ぬくい山のきつね』（以上、新日本出版社）で新美南吉児童文学賞、『じぶんの木』（岩崎書店）でひろすけ童話賞受賞。作品に『黄金の夏休み』（文溪堂）、『ユッキーとともに』（佼成出版社）など。

■湯本のづみ（きゆもと・のづみ）／1977年大阪府生まれ。奈良県在住。広告制作会社退社後、フリーのイラストレーターとして活動。絵本に『ことばであそぼう五七五』（内田麟太郎／文　WAVE出版）など。