鈴木出版株式会社

子育てのQ&A

多動な子どもたち Q&A ADHDを正しく理解するために

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(社)発達協会 王子クリニック院長 石崎朝世/編著

Q算数がきらいで、計算はやるのですが応用問題となると読もうともしません(小3)。


A

ことばの理解力(国語の力)が原因のことがあります。
計算はやるけれども応用問題はダメという子がいます。応用問題では、同じことをさまざまに言いかえます。たとえば足し算では、「足す」ということばの他に、何々と何々を「あわせれば」「一緒にすれば」「中に入れれば」などを使ったりします。類推して同じ意味であることを探りあてなくてはいけないのですが、これがうまくいきません。たとえば、「あわせれば」「一緒にすれば」は足し算とわかっても、「中に入れれば」では、何かに入れると見えなくなるので引き算と思い込む子もいます。子どもができなかった問題を詳しく調べると、いつも同じところでまちがっているともいわれ、こういったかんちがいの原因に国語の力の問題があることがうかがわれます。
算数とはやや離れてしまいますが、子どもがつまづきやすいことばとしては、「機能語」が報告されています。機能語とは、「語と語、または文と文の間で文法的な関係を示す助詞、前置詞、接続詞など」のことです。助詞の例としては、「から、より、けれど、ながら、くらい、だけ」などがあげられます。機能語だけでなく、疑問代名詞の「何、どこ、どちら、どれ、だれ、いくつ、なぜ」もわかりにくくむずかしいようです。
最近「語用論」の問題が注目されています。たとえば「この床は汚れている」ということばには、「汚いから掃除をしてほしい」とか「この床は張り替えたほうがいい」といった、言外の意味がありえます。ですから「汚れていますね」とこたえるだけでは、意味は別としても、実際の会話としては成立しないこともあります。語用論ではこのように、状況によってことばには表面的な意味とは違うものが存在するとします。子どもたちは、この語用論的意味の解釈が苦手です。わからないときには、補足説明が必要となります。

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