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保育のQ&A

改訂新版 幼稚園・保育園の先生のための 保育記録のとり方・生かし方

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関章信/編著

Q研究のための記録にはどのような方法がありますか?


A

ひとくちに記録といっても、さまざまな記録のとり方があります。どのような切り口で子どもや保育をとらえるか、研究の目的によって記録の書き方も変わってきます。
ここでは、その記録をとる際にも大変有効と思われますので、『幼児教育学入門』(学術図書出版社刊)に紹介されている「評価の方法」について要約して掲載しておきます。

「観察法」
これは、保育者が幼児を観察し記録することによって、その行動や変容をとらえようとするものです。保育の場において記録をとる場合、この観察法が多く用いられています。つまり、保育者が子どもをとらえて記録していく方法です。
観察法は、保育の実践の中ではもっともポピュラーな観察の仕方です。この観察法では、客観性や信頼性がいかに高められるかがポイントです。保育者によって子どもの言動や姿のとらえ方が、極端に変わらないようにすることが重要です。そのためには、何を記録するかについて、あらかじめ視点や対象を定めておくことが大切です。
この観察法には以下のようなものがあります。

(1)自然観察法
自然観察法は実際の保育場面の自然な状態の中でありのままを観察する方法です。観察といっても、漫然と広すぎて記録をとるにもたいへんです。そこで、目的に応じて、ある場面や行動に限って観察する方法を「場面選択観察法」といいます。たとえば、砂場での仲間関係のかかわりだけを集約的、系統的に記録していくようなやり方です。
「時間見本法」は保育場面の一定時間を限定して観察し、自然状態の観察の精度を高め、数量化するために工夫されたものです。

(2)逸話記録法
個人の行動の観察記録を、個性的、具体的に逸話の形でそのまま記録したものです。逸話記録法はある枠組みからの観察ではないという点から短所といえますが、時間や場面を限定した観察では見いだせない質的な面が記録されるという長所が見られます。

(3)チェックリスト法
観察する項目をあらかじめ決めておき、その項目について行動が見られた場合にチェックしていく方法です。この場合、行動の出現の多寡によって評定していくことになります。
この方法は、価値基準のはっきり見られやすい、基本的生活習慣などに関する評定には有効です。

(4)実験的観察法
自然観察法ではさまざまな複合した要素が重なる場合があります。そこで、ある条件をできる限り統制して実験的に見ていくやり方が、実験的観察法です。研究者が多く用いるやり方です。

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